ベビーマッサージで深まる親子の絆
赤ちゃんの成長は、日々のふれあいを通じて深く育まれます。特に”触れる”という行為は、赤ちゃんの心身だけでなく脳の発達にも大きな影響を与えます。そのふれあいのひとつとして、今注目されているのが「ベビーマッサージ」です。
赤ちゃんとの日常に生まれるふれあいの時間
出産を終えた直後から始まる赤ちゃんとの暮らしは、想像以上に忙しく、余裕を持つのが難しいと感じる方も多いでしょう。授乳やおむつ替え、寝かしつけや泣き声への対応で、一日があっという間に過ぎていきます。
そんな中で「ただ生きているだけで十分」「今日も無事でよかった」と思う日があって当然です。しかし、その一方で、ふと立ち止まり、赤ちゃんの目を見て、肌に触れ、ゆっくり呼吸を合わせるような時間を持てたとき、親自身の心にも穏やかさが生まれます。
その“止まって向き合う時間”を日常に取り入れられる手段が、ベビーマッサージです。
ベビーマッサージとは:本質は「共に過ごすこと」
ベビーマッサージは、赤ちゃんの身体にやさしく触れながら、なでたり包み込んだり、軽く関節を動かしたりするスキンシップの一種です。けっして治療目的ではなく、「今ここにいるよ」「あなたのことを大切に思っているよ」という気持ちを、言葉ではなく手から伝えるコミュニケーションです。このふれあいの時間は、赤ちゃんにとって「安心」の記憶として残り、親にとっても赤ちゃんと心でつながるかけがえのない時間となります。
赤ちゃんが受け取る安心と成長のサイン

リラックスと心の安定
赤ちゃんは日々、五感を通してさまざまな刺激を受け取っています。光、音、におい、肌触りなど、どれも新鮮で不安定な情報ばかり。そんな中、親のぬくもりある手に包まれると、赤ちゃんの呼吸は深まり、鼓動は穏やかになり、身体の緊張が解けていきます。
睡眠の質が整う
安心した状態が生まれることで、寝つきがよくなり、夜泣きや頻繁な覚醒が落ち着いてくる赤ちゃんもいます。
便秘やガス溜まりの軽減
お腹にやさしく触れたり、脚を軽く曲げ伸ばしすることで腸の動きが促され、ガス溜まりや便秘の予防・緩和につながります。
血行の促進と皮膚の育成
ふれることで血流が促され、代謝が活性化し、皮膚のバリア機能も高まります。肌に触れられる経験が増えることで、「触れられること」への抵抗が少なくなり、快・不快の感覚が育っていきます。
ママ・パパにとっての意味ある時間

赤ちゃんに触れる時間は、親にとっても育児の中での大切なリセットになります。
- 育児のストレスや不安が、赤ちゃんのぬくもりに癒される
- 日々のふれあいで、赤ちゃんの体調の変化をいち早く感じ取れる
- 赤ちゃんの穏やかな表情や反応に、自分の手で守っている実感と自信が生まれる
- パパの参加が自然になり、育児を家族で共有する時間が持てる
脳育としてのベビーマッサージの価値
赤ちゃんの脳は、生後すぐから急激な成長を遂げます。大人と同じ数の神経細胞を持ちながら、それらの結びつき(シナプス)は未発達であり、外部からの刺激を受けて次第に強化されていきます。
ベビーマッサージは、触覚だけでなく、視線、声、香り、温度など多感覚を同時に刺激する行為であり、シナプスの発達を促す理想的な時間です。特に生後6か月から1歳までの時期は、シナプス形成のピーク。ここで得られる体験は、赤ちゃんの脳にとって一生の土台になります。
赤ちゃん期に発達する「からだ・知覚・感情の脳」

からだの脳(生命の安定)
- 発達時期:出生直後〜5歳ごろ
- 機能:呼吸、消化、睡眠などの生命維持
- ベビーマッサージの役割:安定した触れ合いが安心感を育み、生理機能を整える
おりこうさん脳(感覚と運動)
- 発達時期:1歳〜未就学期
- 機能:見る・聞く・触るなどの知覚と手足の運動機能
- ベビーマッサージの役割:触れることで感覚統合がスムーズになり、運動や知的発達をサポート
こころの脳(情緒と共感)
- 発達時期:乳児後期〜幼児期
- 機能:愛着・安心・他者への共感・感情のやりとり
- ベビーマッサージの役割:親の愛情が直接伝わることで、自己肯定感と信頼の基礎が育つ
実践するための準備と配慮

- はじめる時期:生後1か月以降、体調が安定してから
- 最適なタイミング:お風呂上がり、眠る前、授乳後30分以上経過した時間
- 使用するもの:ベビーオイル、バスタオル、フェイスタオル、お気に入りのおもちゃ
注意事項:
- 熱・下痢・湿疹がある日は避ける
- 予防接種後48時間以内は控える
- 赤ちゃんの反応をよく観察し、無理せず中断してもよい
成長に合わせて続くふれあいのかたち
ベビーマッサージは赤ちゃん期だけの特別な行為ではありません。成長に応じて内容を変えながら、ふれあいの習慣として続けることができます。
- 1歳頃からは、背中や腕をなでてあげる「おやすみマッサージ」
- 2歳以降は、手のひらや足裏を優しくマッサージすることで心が落ち着く習慣に
- 幼児期は、頑張った日や疲れたときの「いたわりのマッサージ」へ
どの年齢でも「触れ合う」ことには変わりなく、それは「あなたの存在を大切に思っている」という親から子への無言のメッセージになります。
まとめ
ベビーマッサージは、単なるケアではなく、赤ちゃんと親の心を通わせる尊い時間です。その時間は、赤ちゃんにとって「この世界は安心できる場所だ」と感じる入り口になり、親にとっても育児を前向きに楽しむ土台になります。育児に正解はありません。けれど、赤ちゃんに触れ、感じ合い、共に過ごす時間は、間違いなくすべての親子にとって価値あるものです。今日という日、少しだけ立ち止まり、赤ちゃんの手をとってみてください。そのぬくもりが、きっとあなた自身の心も包んでくれます。
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